はやぶさ252号

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- である財務省は、
ファンドからの財政報告を定期的に受け、
シー保護などに努め、制度の適切な運用が担保される環
組織や運営体制などに対する見直しを求める権限を持つ
境を構築することで国民の不安を払拭し、信頼の回復に努
べきである。
それでも改善が図られなければ、株主総会で
めなければならない。
経営体制の刷新を促すなど規律重視の運営に改めるべき
マイナンバーカードの利便性を高めるためには、各種行
である。
政サービスの手続きをワンストップ化することが重要であ
こうした行政改革を徹底するに当たっては、地方を含め
e-TaxやeLTAXを利用した場合の申告納税手続きの
る。
た政府・議会自らが「まず隗より始めよ」の精神に基づき、
簡素化や各種手当等の申請手続きを簡略化すれば、一段
率先して身を削らなければならない。
のカード普及にもつながろう。国・地方で具体的な検討を
以下の諸施策について、直ちに明確な期限と数値目標
進めるべきである。
を定めて改革を断行するよう強く求める。
社会保障と税、災害対策となっていた利用範囲はマイナ
これをどこ
ンバー法等の改正によって一部拡大されたが、
(1)国・地方における議員定数の大胆な削減、歳費の抑
まで広げるかは今後の重要な課題と言える。
制。
また、調査研究広報滞在費や政務活動費等の適
正化と使途の透明化。
(2)厳しい財政状況を踏まえ、国・地方公務員の効率的な
5.今後の税制改革のあり方
要員確保と能力を重視した賃金体系などによる人件
今後の税制改革に当たっては、①経済の持続的成長と
費の抑制。
雇用の創出②少子高齢化や人口減少社会の急進展③デ
(3)特別会計と独立行政法人の無駄の削減。
ジタル化や働き方の多様化④グローバル競争とそれがも
(4)
PDCAサイクルを確立することにより、各省庁による事
たらす所得格差など、経済社会の大きな構造変化⑤国際
業のチェックを継続的に実施する。
また、
民間活力を積
間の経済取引の増大や多様化、諸外国の租税政策等と
極的に導入し、
民需主導の自律的な経済成長を促す。
の国際的整合性――などにどう対応するかという視点等
を踏まえ、税制全体を抜本的に見直していくことが重要で
4.マイナンバー制度について
ある。
デジタル化時代の社会インフラであるマイナンバーカー
ドの交付率は約81%(令和6年8月現在)に達したが、国民
や事業者がマイナンバー制度を正しく理解し、積極的に活
Ⅱ
経済活性化と中小企業対策
用しているとは言い難い。
マイナンバーカードの健康保険
我が国経済を支える中小企業の景況感は、新型コロナ
証としての利用が開始され、健康保険証(新規交付・再交
ウイルス禍の打撃からほぼ脱し、改善に向かっている。一方
付)は令和6年12月2日に廃止されることとなったものの、
で全国的に中小企業の人手不足が深刻化しており、海外
令和6年6月現在の利用実績は9.9%にとどまるなど、
その
の資源高や円安進行を背景にした物価の上昇も加わり、
利用はまだ低調である。令和6年度末には運転免許証との
と
中小企業経営をめぐる先行き不透明感は強まっている。
一体化も予定されている。
こうした中で政府は引き続きマ
くに優秀な人材を確保するためにも着実な賃上げや最低
イナンバー制度の意義とともに、行政事務のコストカットに
賃金の大幅引き上げが迫られる中で、賃上げ原資を生み
資する等、
その効果を具体的に明示するなどしてマイナン
出すために原材料費や光熱費など、上昇するコストの適正
バーの利用拡大を促す必要がある。
円滑な価格転嫁や
な価格転嫁が大きな課題となっている。
国民の利用が広がらない背景には、
マイナンバーカード
下請けいじめの排除に向け、中小企業庁や公正取引委員
を通じた個人情報の漏洩に強い懸念を持っていると認識
会などによる取引監視体制の強化が求められる。必要に
すべきである。昨年にはマイナンバーカードを使ってコンビ
応じて下請法の改正など、実効性のある取り組みを進めな
ニエンスストアで各種証明書を発行するサービスをめぐり、
ければならない。
他人名義の証明書が誤って交付されるなどの深刻なトラ
こうした中で取引先の中小・零細企業に対し、不合理な
ブルが頻発した。政府はそうした事態を厳しく反省し、誤交
「パー
値下げ交渉や買い叩きをしないと対外的に約束する
付などを徹底的に防止する総合的な対策を講じる必要が
これに
の取り組みは注目に値する。
トナーシップ構築宣言」
ある。
そのうえで第三者による悪用を防ぐためのプライバ
署名した大手企業などは、賃上げ時に法人税の負担を軽く
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