はやぶさ252号

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- Hayabusa 252 HIGHLIGHT
(3)防衛力の抜本強化では防衛費を2027年度までの5年
(2)医療は産業政策的に成長分野と位置付け、
デジタル
間で総額43兆円とすることを決定したが、大半が
「歳
化対応など大胆な規制改革に取り組む必要がある。
出改革」
や
「決算剰余金の活用」
により捻出することと
給付の急増を抑制するためには診療報酬(本体)の配
しており、財源としての安定性を欠いている。
日本を取
分等を見直すことも重要である。
さらに
「ジェネリック
り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、防衛費の増
(後発薬)の使用割合を全ての都道府県で80%以上」
額は必要な政策であるだけに、安定的な財源の確保
に加え
「ジェネリックの金額シェア65%以上」
とする政
が欠かせない。
府の新たな目標が定められたが、
その達成のためには
ジェネリックの安定した供給体制を確立することも肝要
2.社会保障制度に対する基本的考え方
である。
(3)少子化対策では児童手当が大幅に拡充されたほか、
高齢者人口がピークを迎える2040年の社会保障給付
所得制限も完全撤廃された。
だが、富裕層にまで支給
費は、22年よりも4割以上増えて190兆円に達すると試算
対象を広げる政府方針については、
出生率の向上につ
されている。
また、来年には団塊の世代すべてが後期高齢
ながるか疑問があるほか、公平性確保の点からみて極
者となることから、医療と介護の給付費の急増が見込まれ
めて問題である。本来は現金給付よりも保育所や学童
る。
こうした中で持続可能な社会保障制度を構築するには、
保育等の整備、保育士等の待遇を改善するなどの現
適正な
「負担」
を確保するとともに、
「 給付の重点化・効率
物給付に重点を置くべきであり、国及び地方自治体が
化」
によって可能な限り社会保障費を抑制する必要がある。
財政・行政面で総合的な施策を講じるべきである。
社会保障のあり方をめぐっては、
「自助」
「公助」
「共助」
の
(4)介護保険については高齢化の進展に伴い、制度の持
役割と範囲を適正に見直すほか、公平性の視点も重要で
続可能性を高めるために真に介護が必要な者を見極
ある。医療保険の窓口負担や介護保険の利用者負担など
めるほか、医療と同様に公平性の視点から給付及び負
の本人負担については、高齢者においても負担能力に応じ
担のあり方を見直すべきである。
た公平な負担を原則とする必要がある。
また、生活保護については、給付水準のあり方など
特に中小企業は物価高騰に直面する中で、最低賃金の
を見直すとともに不正受給の防止に向けた一段の厳
大幅な引き上げや物価上昇を上回る賃上げが求められて
格化が欠かせない。
おり、厳しい経営を強いられている。
さらに本年10月からは
厚生年金の適用対象が拡大(従業員数51人以上)される。
企業に対する過度な保険料負担を抑え、経済成長を阻害
3.行政改革の徹底等
しないような社会保障制度の確立が求められる。
今般の政治資金をめぐる問題については、多くの国会議
配偶者控除等の税の問題や年金等の社会保障の問題
員が法的な責任を免れるなど、国民の納税意欲を著しく阻
は、就労調整が行われる一つの要因であり、人手不足に直
害するものとなった。国民の政治に対する不信感は極度に
面する中小企業にとって重要なテーマである。
また、
「年収
高まっていると厳しく認識し、政治資金規正法の不断の見
の壁」への対応策として、政府が助成金制度等を講じたこ
直しなどに取り組み、政治資金に関する透明性の向上や
とで一定の効果はあると思われるが、
あくまでも一時的な
適正化、罰則の厳格化を図るべきである。
措置であり、抜本的な対策とはならない。女性の就労を支
また、水膨れが指摘される国の基金に基づく事業をめ
援する政策を含め、税と社会保障の問題を一括して議論
ぐっては、企業などに対する補助金の支払いを終えている
する必要がある。
のに管理費だけをその後も継続して支出していた基金な
ど、15の事業を廃止する方針が固まった。
これに加え、使う
(1)公的年金については年金財政の検証結果を踏まえ、
見込みがない5,400億円余りを国庫返納することも決まっ
年金制度の見直しについて検討が進んでいる。
これま
た。存続させる基金については数値目標を早急に設定し、
でも年金の受給開始年齢の繰り上げや繰り下げの選
国から基金に拠出する年限も設けることなどで、基金の政
択肢が拡大されてきており、公的年金制度の持続可
策効果等を常に検証し、今後も運用の適正化を図るべき
能性を高めるために
「マクロ経済スライドの厳格対応」
である。
や
「高所得高齢者の基礎年金国庫負担相当分の年金
さらに財政投融資(財投)を活用した官民ファンドについ
給付削減」
などの検討が求められる。
ても、多額の損失を計上する事例が相次いでいる。出資者
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