はやぶさ252号

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- Hayabusa 252 HIGHLIGHT
が重要な課題である。地方自身がそれぞれの特色や強み
を生かした活性化戦略を構築し、
民間の知恵と工夫で新た
Ⅴ
その他
な地場技術やビジネス手法を開発しなければ、真の活性化
にはつながらない。
1.納税環境の整備
(1)地方創生は、
さらなる税制上の施策による本社機能移
行財政改革の推進と納税者の利便性向上や事務負担
転の促進、地元の特性に根差した技術の活用、地元
の軽減を図るため、国税と課税の基準を同じくする法人の
大学との連携などによる技術集積づくりや人材の育成
道府県民税、市町村民税、法人事業税の申告納税手続き
等、実効性のある改革を大胆に行う必要がある。
そう
について、地方消費税の執行と同様に、一層の合理化を
した中で中小企業の事業承継は、地方創生戦略との
図るべきである。
関係からも極めて重要だと認識すべきである。
(2)広域行政による効率化について検討すべきである。基
礎自治体(人口30万人程度)のさらなる拡充を図り、
財政基盤の強化につなげる必要がある。
(3)
ふるさと納税は、
その返礼品として地域産品を提供す
2.環境問題への対応
政府は2050年までに温室効果ガスの排出を実質的に
ゼロにする
「カーボンニュートラルの実現」
を目指しており、
ることで、地域振興を促す面がある。
だが、住民税は居
その中間に位置する2030年に温室効果ガスの排出量を
住自治体の会費であり、他の自治体に寄付の形で納
「46%削減(13年度比)
する」
との目標を国際公約として打
税することは地方税の原則にそぐわないとの指摘もあ
ち出している。
る。寄付先を納税者の出身自治体に限定するなど、
さ
令和5年5月にGX推進法が成立し、
「GX経済移行債」
らなる見直しが求められる。
また、必要経費は寄付総額
を発行して脱炭素に向けた民間投資を進めるとともに、
そ
の5割以下とする基準が設けられているが、
より多くの
の償還財源として二酸化炭素の排出量に応じて企業に負
寄付金が寄付先の地域のために活用されるように過
担を求める
「カーボンプライシング」
が導入された。
度な返礼品競争を排し、事務手数料のあり方等を含
地球温暖化対策は先進国や途上国を含めて重要な課
めて制度設計を見直す必要がある。
題であるが、
その費用負担も冷静に見極める必要がある。
政府はカーボンプライシング導入の政策効果や、家庭や企
Ⅳ
震災復興等
政府は東日本大震災からの復興について、令和3年度か
ら7年度までの5年間を
「第2期復興・創生期間」
と位置付
業におけるエネルギー価格の負担のあり方等について今
後、継続的に検証する必要がある。
3.租税教育の充実
け、復興の円滑かつ着実な遂行に期することとしている。
そ
税は国や地方が国民に供与する公共サービスの対価で
のためには、
これまでの効果を十分に検証し、予算の執行
あり、国民全体で等しく負担する義務がある。
また、税の適
を効率化するとともに、原発事故への対応を含めて引き続
正な納付はもちろんのこと、
その使途についても厳しく監視
き適切な支援を行う必要がある。
とりわけ被災地における
することが極めて重要である。
しかしながら、税の意義や税
企業の定着、雇用確保などに対し実効性ある措置を講じる
が果たす役割を必ずしも国民が十分に理解しているとは言
よう求める。
えない。学校教育はもとより、社会全体で租税教育に取り
また、本年1月には能登半島地震が発生するなど、近
組み、納税意識の向上を図っていく必要がある。
年、強い地震や台風などの大規模な自然災害が相次いで
発生している。東日本大震災の対応などを踏まえ、被災者
の立場に立った適切な支援と実効性のある措置を講じ、
被災地の確実な復旧・復興等に向けて取り組まなければ
ならない。
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